障害者の福祉に携わる上で、様々な用語に触れる機会があると思います。

 

しかし、日々の支援を行っていく上ではそれぞれの用語の定義や考え方、背景などをいちいち調べ、細かいことまで理解することまではできていないのではないでしょうか。

 

ただ、ある程度はそれぞれの用語の定義や、似たようなものだけど少し考え方が違う点など、理解しておくことに越したことはありません。

 

今回は、東京オリンピック・パラリンピックや障害者雇用の推進といった昨今の社会情勢を語る上で、随所に登場する「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」という用語について、その内容や両者の違い、具体例などについて理解を深めていきたいと思います。

バリアフリー

バリアフリーは、端的に表現すると「障害者・高齢者・幼児等のために社会の中にある物理的な障壁(バリア)を無くしていこうとする考え方」といえます。

 

まずは、1950年代後半から欧米を中心にバリアフリー基準の策定が進められ、1970年代ごろから日本でも関心が高まり、法整備も進み始めました。

 

日本における主な法律

『高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法):1994年』

『高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法):2000年』

『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法):2006年』

 

こうした流れのもと、バリアフリーの考え方は社会に根付いてきたものですが、逆に言うと、これまでのまちづくりや商品設計は、無意識のうちに障害者や高齢者の人たちに対し、障壁(バリア)を作ってきたと言えます。

 

そして、その前提があるからこそ、バリアフリーの考え方の基礎は、障害者や高齢者、乳幼児等の「特定の対象を前提として特別の対策を立てる」という発想に留まりがちになってしまいます。

 

ユニバーサルデザイン

バリアフリーが特定の対象者を前提に置いている一方、ユニバーサルデザインは、すべての人を想定することが前提です。

 

すなわち、あらゆる人にとってできる限り利用しやすいよう、製品・建物・環境空間をデザインすることであり、特定の人のために変更が必要だったり、特別な仕様が設けられたりするものであってはならないということが基本的な考え方となっています。

 

この点が両者の違いと言えます。

 

このユニバーサルデザインという考え方は、アメリカのロナルド・メイス教授が、1985年に発表した論文で初めて提唱されたものです。

 

実は彼自身も障害者であり、バリアフリーを乗り越えるものとしてユニバーサルデザインを主張し、実際に住宅等の設計にも携わったという話もあります。

 

メイス教授が主張した『ユニバーサルデザインの7原則』

①誰でも公平に利用できること

②使う上で自由度が高いこと

③使い方が簡単ですぐわかること

④必要な情報がすぐ理解できること

⑤うっかりミスや危険につながらないデザインであること

⑥無理な姿勢をとることなく、少ない力で楽に使用できること

⑦使いやすい場所と大きさを確保すること

 

ユニバーサルデザインは、すべての人が、自己決定以外の要素によってなんら妨げられることなく、平等に便利なものや使いやすいサービスを利用できるようにデザインするというものです。

 

自己決定以前にそれを諦めさせる要因が存在する場合、結果としてそうせざるを得ない人の人権を抑圧しているということになるのです

 

ユニバーサルデザインを考える上での分かりやすい例

スイッチに手が届かない人や、身体が全く動かせない人は、このスイッチでも使うことはできません。紐を使って照明のオン・オフをしていたころに比べれば、たしかに大きなスイッチは”より”ユニバーサルなデザインであるといえます。

一方で、人が触れることなく照明の操作ができるセンサ式のスイッチは、大きなスイッチよりも”より”ユニバーサルデザインに配慮していると言えるでしょう。今後も様々な技術の向上によって「ユニバーサルデザイン」と呼ぶことのできるレベルがより高まる可能性があります。

ユニバーサルデザインは、「このデザインとこのデザインだったらこちらのほうが使いやすい人が多いだろう」という、あくまでも「比較級」の考え方なのです。

引用元:LITALICO発達ナビ

 

未来を考えていく上で

国の調査では2005年時点で、以下のような結果がでています。

 

「バリアフリー」について「ことばも意味も知らない」人→約4.5%

「ユニバーサルデザイン」について「ことばも意味も知らない」人→約35%

 

それから10年以上が経過し、現在はよりいっそう社会に浸透していると考えられますが、私自身の肌感覚だけで申し上げても、まだまだ人々の理解や意識が行き届いていないのが現状です。

 

これからの社会では、物質的な豊かさから精神的な豊かさを求める社会的ニーズが高まってくる。UD(ユニバーサルデザイン)が単にモノやサービスのデザインにとどまらず、その根底に流れる人間性尊重の思想として、ますます社会に広まっていくことが、日本経済に活力を与え、社会全体の幸福につながるものと考えている

<直言!日本と世界の未来>ユニバーサルデザインによる人間視点の社会づくり=誰もが利用できる製品・環境目指す―立石信雄オムロン元会長から引用

 

私たち一人ひとりが、ユニバサールデザインを理解し行動することによって、新たな気づきや発見が生まれ、そこから議論や検討、取組に発展していき、よりよい社会の実現につながっていくのではないでしょうか。

おすすめの記事